#2 練習だけ?練習とトレーニング?
こんにちは、S&Cコーチの房です。
スポーツをやったことのある方であれば
「トレーニングしなくても練習さえやっていればジャンプ力、球速、スプリント能力は上がる!」
と考えたことがある方は結構いるのではないかなと思います。
高校時代、自分はそうでした(笑)。
しかし、S&Cコーチになり勉強していくほどに
「いや、トレーニングも一緒にやったほうがいいでしょ。」
と思うようになりました。
ハンドボールに関する論文を探していたら、まさにこれだという論文が出てきたので紹介していきたいと思います。
The effects of maximum strength training on throwing velocity and muscle strength in female team-handball players
研究内容
ノルウェー2部の女性ハンドボール選手16名が被験者として研究に参加した。
この研究はシーズンの前半に行われた。
被験者はランダムに2グループに分けられ、以下の内容を9週間実施した。
トレーニング群:ハンドボールの練習とレジスタンストレーニングを行う。
レジスタンストレーニング:ベンチプレス
3sets 5~6reps 1RM85% 週3回
コントロール群:ハンドボールの練習のみを行う。
9週間の前後に以下のテストを実施した。
・3ステップランニングシュートの球速
・スタンディングシュート(立位でのシュート)の球速
・ベンチプレス1RM
・身長
・体重
・Vo2MAX(最大酸素摂取量)
結果
トレーニング群は、球速とベンチプレス1RMが向上した。
コントロール群は、球速が向上したがベンチプレス1RMは変わらなかった。
トレーニング群はコントロール群に比べて球速が大きく向上し、有意な差があった。
考察
スタンディングシュートの球速はトレーニング群が約18%、コントロール群が約15%増加していた。
向上率に大きな差が出なかったのは、実際の試合でスタンディングシュートは7mスローぐらいしかなく、練習不足によりトレーニング効果の転移が十分に起きなかったのではないかと思われる。
3ステップランニングシュートではトレーニング群が約17%、コントロール群が約9%向上した。
練習にトレーニングを加えたことによる効果ではないかと思われる。
つまり、トレーニングにより向上した筋力を練習で使いこなせるようになり球速が向上したと考えられる。
この研究からは「練習だけでもパフォーマンスは向上する」が、
「練習とトレーニングを組み合わせた方がパフォーマンスはより向上する」ことがわかります。
練習せずにトレーニングだけで球速が向上するかどうかはこの研究ではわかりません。
トレーニングだけのグループもいたらいいなと思いましたが、シーズン中かつ被験者の競技レベル的にそんなことはできないです(笑)。
基本的に上手くなるために練習するので練習せずにトレーニングだけという状況にはなりづらいと思います(ケガをしている場合は別ですが)。
またハンドボールでシュートを決めるために球速は大事な要素ではありますが、コースや駆け引きなどの他の要素も関わってくるのでトレーニングだけというわけにはいかないです。
そして、パフォーマンスを向上させるために適切なトレーニングをしなければなりません。
エクササイズの選択だけでなく、期間・量・環境などの要素も考慮しながらプログラムを作成する必要があります。
ただやるだけでは十分な効果を得られなかったり、最悪ケガをしてしまうこともありますので専門家の指導を受けることをオススメします。
0コメント